SSブログ

「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その47 [小説]

「私は違う――ずっと信じてた…。
神を信じていれば
神がすべて良いほうに導いてくれると思っていた…。
私の中の許されざる感情も
新致命者になり、神のために働けば
きっと浄化されていくんだろうと思っていた…。
――だけど私は、
家族を殺したボルシェビキたちを許せなかった。
家族の恨みを晴らすためだと思って
どんな仕事もいとわなかった。
私は神の名を語ったヤツに
騙されただけだった。
同様に無辜の人たちを煽動し、
金で動かし、情で操るあなたにも
神を語る資格なんてないっ!」
「かぁ―――っ!
黙れ黙れ! 
それは貴様がオーソドクスの一導師ユダに乗せられただけではないかっ!
それを神のせいにするとは言語道断!
さすがにラスプーチンに騙されたロマノフ家の末、
神を騙るペテン師に騙されるのは血筋と見えるわ!」
自分の流した血の海の中でわめきたてるワシントンの背後に回ったタチアナは、
「――じゃあ何であんたたちは
異教徒相手にいつまでも戦ってるの?」
と言うなり、剣を抜きざま砂に思い切りつきたて左右に振った。
140322i1 のコピー.jpg
「がぁっ――っ!」
剣を横にして砂から持ち上げるようにして取り出すと
ワシントンの下半身から伸びた腸や筋肉繊維が
ぶちぶちと切断される。
「これが不滅の完全な肉体?
死んであなたの信じる天国に行くこともできないじゃない…。
こんなでたらめな体にされてまで、
人に信心を勧めるなんて
もしかして、脳みそもいじられてるんじゃない?」
ワシントンが悶絶して前のめりに倒れるを見ながら、
タチアナがにっと笑った。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。