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「豪快! 両国夢想」第5話「黄昏の国」その46 [小説]

「で、あの海上兵力はどうするんだ?」
上半身を腕の力だけでささえながら
ワシントンが聞いてくる。
「もちろん帰ってもらうよ――ほら」
結繪がそう言って指し示した海上では、
上陸用舟艇が右往左往し、
大混乱の兆しを見せていた。
「バカな…何をしているっ!
戻るな! 侵攻せよ!
鎌倉を! 弾正府を蹂躙(じゅうりん)せよ--っ!」
ワシントンの言葉もむなしく船は母艦へと引き上げていく。
「な…なぜだ…私は命令の変更などしておらんぞ…」
「あなたよりもっと上のほうで
話し合いがあったにきまってるじゃない」
完全にバカにしきった表情でタチアナ皇女大佐が
ワシントンを見下ろしている。
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「貴様…タチアナいやアナスタシア皇女…
オーソドクス(正教)の新致命者(しんちめいしゃ)にまでなりながら、
八百万の妖(あやかし)に強力(ごうりき)しおって、
この裏切り者めっ!
主よ――どうかあの者に天罰を与えたまえっ!」
「何言ってるんだか…。
あなたは都合がいいから
敬虔な信徒を演じてるだけでしょ?」
今度はアナスタシアの高笑いが稲村ガ崎に響き渡った。

つづく
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moe

makimakiさん おはようございます。
ご訪問&nice! ありがとうございます♪
by moe (2014-03-22 06:12) 

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