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「二楽亭へようこそ!」 ハワイ細腕繫盛記 その13 [小説]

そこに、
「よっしゃ、準備完了~~~っ!」
というキザクラの大音声が響き、
火炎が氷の壁に向かって放射される。
「キザクラ遅い!」
「すいやせん~、遅れた分は派手にやりますぜ~!
とりゃ~~っ!」
190731j1.jpg
キザクラ以下ボスネセンスキー鬼兵団の面々が、
火炎放射を開始するが、
氷の壁は一旦は溶けるものの、
再凍結していっこうに薄くなる気配が見えない。
「火炎放射器の燃料が尽きるのが先か、
雪ンバの妖力が尽きるのが先か…」
唸る音音の呟きを聞いた
キザクラの横で何もできずにいたクボタが、
「クソっ…俺にできる事は、
ファイヤーダンスで応援するぐらいしか…」
と焦れてダンスのステップを踏み始める。
すると、
火炎放射器の炎が幾分増したように思え、
クボタはさらに集中して踊り続ける。
明らかに炎の威力が増し、
氷の壁が徐々に後退を始めた。
「すごい…」
「Yes! Kubota!
Pray with all your heart,Kubota!
(そうです! クボタさん、もっと心を込めて!)」
リノの応援を聞いたナドワが、
「クボタさん! もっと心を込めて!」
と伝えるとクボタは目を瞑り、
トランス状態のようになり、
指先のしなやかさがぐっと増していく。
「あのCM撮りのときもキラウエアが噴火したんですが、
あれクボタさんの踊りの所為だってリノが言ってました!
クボタさんのダンスで、
火の神ペレの力で炎が増幅されているようです」
驚く一同にナドワが思い当たる節を話すと、
「河童ガード! 全員ファイヤーダンス!
クボタの踊るのを見様見真似でいい!」
と音音は河童たちに指示を出す。
河童ガードがファイヤーダンスに加わると、
炎は一気に威力を増し、
氷をなめるように溶かし、
雪ンバに肉薄し始める。
「あああ! 止めとくれ! 熱いっ! 熱いぃぃいっ!!」
遂に雪ンバに達した炎は、
キザクラたちが火炎放射をやめた今もメラメラと燃え盛り
悲鳴とともに雪ンバは立ったまま消し炭になっていく。
「火の神ペレの怒りにふれた…」
そうリノが呟くと同時にドサリと倒れた雪ンバだったものは、
粉々な砕けたあと雲散霧消した。

「オオゼキ! たぶん大丈夫だと思うけど周囲を警戒。
念のため格納庫周りに結果を張って頂戴」
リベラルアメリカに壊れた格納代を払わなきゃいけないですわと、
予想外の出費にげんなりしながらもテキパキと指示を出す音音。
「でもまあ、これで雪ンバという憂いが消えたのなら良しとするのですわ」
氷が突き抜けてポッカリ穴の開いた格納庫を見ながら、
この分の出費はカラマリボールで、
是が非でも元を取らねばと思う音音であった。

第13話おわり
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