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二楽亭へようこそ![されどバナナ、なれどバナナ」 その7 [小説]

第7話

たっぷり礼金をせしめたナベシマに駅まで送ってもらった一行は、
ちょうどやってきた東京行きの特急・踊り子号に乗り込むことができた。
「この分だと余裕で間に合うが、
片瀬江ノ島への到着時間を調べて、
ガードの本部に連絡いれておけ」
指示しながら、車両内をそれとなく見回していたクボタは、
駅の改札にいた二人組が自分たちの斜め後ろの席に乗り込んでいるのに気が付いた。
しばらくして、スマホをいじりはじめたのを見たクボタは、
「ちょっとトイレ行ってくるから、
車内販売のおねえさん来たら、
ビール買っとけ」
席を立って、こちら側を向いている二人組の方へ歩き出し、
その横で振り返ると、指で2本のサインを2度出しながら、
「ぬるくなるから、ひとり2本だけ買えよ」
と言って再び歩き出したと思った途端、
その二人組の窓側に座ってた方の首にヘッドロックをかける。
一瞬驚いて後手に回った通路側に座っている方へ、
コクリュウとアラマサがとびかかると、両手両足を抑え込んだ。
「よし、よくやったぞ。そのまま椅子に縛り付けとけ」
そう言っておいて、すでに落ちて気を失っている、
男の懐から拳銃を見つけると、
腰の後ろに突っ込んだ。
「クラークの手下か? と聞いてうんと言われても、
はいそうですかと信じるわけにもいかんのでな…」
もう一人の懐に呑まれていた銃を回収すると、
男が取り落とした携帯端末を拾いあげて、
内容を調べていく。
SNSの内容は一定時間を過ぎると消去する仕様になっているらしく、
5分以上前の内容は失われていたが、
残っているメッセージから、
こいつらの仲間が熱海で乗り込んでくるのは間違いないようだった。
「一番後ろの車両に移動するぞ」
特急列車に乗ったのが仇となり、
もう熱海まで旅程で途中駅には止まらない。
最終手段として、列車を急停車させるという手もあるにはあるが、
あとで掛かる経費を考えると、
音音が烈火のごとく怒るのが目に見えているので、
恐ろしくてとてもできない…。

つづく
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