「二楽亭へようこそ!」 ハワイ細腕繫盛記 その6 [小説]
「それは…ちょっと言いづらいのですが、
私たち本土のネイティブと違い、
リノたちハワイアンの精霊使いたちはちょっとマネーに不自由してます…」
「それでタコヤキ?」
「はい、リノに私が日本で食べたタコヤキが美味しいという話をしたら、
動画サイトで作り方見てハマって…」
「それだけでタコヤキを? …無茶ですわ…」
(あ…でも、ここで恩を売っておけば…)
そう判断した音音は、
「いえ、わたくしでできることなら協力させていただきますわ」
といかにも謙虚に聞こえるように答えた。
「本当に? うれしいっ! 音音、ありがとうっ」
それまで蚊帳の外に置かれていたリノが、
音音の手を両手で取ると激しくシェイクしてくる。
そんなリノの目を見つめながら、
音音はちょっとした心配の種、
ハワイでタコって食材は大丈夫なのかを聞いてみた。
「ネイティブは食べますし、
観光客も食べれば大丈夫だと思うのですが…」
この自信のない返答…タコといえば、
デビルフィッシュとして食べない人もいる食材だけに不安が残る。
それにただのタコヤキではインパクトが足りない。
しかもここ数年世界的不漁で単価が上がっているのも問題だ。
そこで、
「タコではなく、イカを使ってはどうでしょうか?」
「カラマリですか?」
「そう、カラマリボールですわ。
カラマリでしたら皆さんお好きでしょ?
その中の一つにタバスコをたっぷりいれてスペシャルホットボールにする…
名付けて『ロシアンカラマリボール』ですわ!」
「味は大丈夫なの…?」
不安そうに聞いてくるナドワに、
「もちろん大丈夫ですわ。お好み焼きってご存知?」
「あ、はいっ…そうかっ!」
「そう。カラマリはタコヤキと同じ粉もののお好み焼きのメジャーな具材ですわ」
「おー! グレイト!」
「それと我が化野道楽グループの<シェイブアイスマニア>と提携しましょう!」
「えっ あのシェイブアイスマニアって化野サンのお店だったんですか?」
先日の地震の後のホスピタリティで有名になったおかげで、
そのあとの話はとんとん拍子に進み、
リノのタコヤキ…いやカラマリボール屋は
<デンジャラス! ロシアン・カラマリボールマニア>
として再スタートすることで合意した。
「そこで相談なのですが、
じつはハワイの暑さのせいで、
氷を作っている雪女たちがバテてしまって…。
ハワイの女神ポリアフの眷属の精霊に
冷たい部屋を作ってもらうことはできでしょうか?」
音音がそう言うと、
二人の表情が目に見えて曇った。
私たち本土のネイティブと違い、
リノたちハワイアンの精霊使いたちはちょっとマネーに不自由してます…」
「それでタコヤキ?」
「はい、リノに私が日本で食べたタコヤキが美味しいという話をしたら、
動画サイトで作り方見てハマって…」
「それだけでタコヤキを? …無茶ですわ…」
(あ…でも、ここで恩を売っておけば…)
そう判断した音音は、
「いえ、わたくしでできることなら協力させていただきますわ」
といかにも謙虚に聞こえるように答えた。
「本当に? うれしいっ! 音音、ありがとうっ」
それまで蚊帳の外に置かれていたリノが、
音音の手を両手で取ると激しくシェイクしてくる。
そんなリノの目を見つめながら、
音音はちょっとした心配の種、
ハワイでタコって食材は大丈夫なのかを聞いてみた。
「ネイティブは食べますし、
観光客も食べれば大丈夫だと思うのですが…」
この自信のない返答…タコといえば、
デビルフィッシュとして食べない人もいる食材だけに不安が残る。
それにただのタコヤキではインパクトが足りない。
しかもここ数年世界的不漁で単価が上がっているのも問題だ。
そこで、
「タコではなく、イカを使ってはどうでしょうか?」
「カラマリですか?」
「そう、カラマリボールですわ。
カラマリでしたら皆さんお好きでしょ?
その中の一つにタバスコをたっぷりいれてスペシャルホットボールにする…
名付けて『ロシアンカラマリボール』ですわ!」
「味は大丈夫なの…?」
不安そうに聞いてくるナドワに、
「もちろん大丈夫ですわ。お好み焼きってご存知?」
「あ、はいっ…そうかっ!」
「そう。カラマリはタコヤキと同じ粉もののお好み焼きのメジャーな具材ですわ」
「おー! グレイト!」
「それと我が化野道楽グループの<シェイブアイスマニア>と提携しましょう!」
「えっ あのシェイブアイスマニアって化野サンのお店だったんですか?」
先日の地震の後のホスピタリティで有名になったおかげで、
そのあとの話はとんとん拍子に進み、
リノのタコヤキ…いやカラマリボール屋は
<デンジャラス! ロシアン・カラマリボールマニア>
として再スタートすることで合意した。
「そこで相談なのですが、
じつはハワイの暑さのせいで、
氷を作っている雪女たちがバテてしまって…。
ハワイの女神ポリアフの眷属の精霊に
冷たい部屋を作ってもらうことはできでしょうか?」
音音がそう言うと、
二人の表情が目に見えて曇った。
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