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「二楽亭へようこそ!」その58 第7話「決戦前夜」第1章 飛鳥中納言 その2  [小説]

「今回の極東教会が富士山を噴火させようとした一件、
たまたま桂木少尉が弾正府のバスに乗っていたから対処が早かったものの、
それでも瑞葉の策が無ければ、
今頃このあたりは火山灰や火山弾で
甚大な被害を受けていただろう」
検非違使別当の執務室も兼ねている
稲村ガ崎高校の生徒会会長室の中で、
司令部要員と先日の事件についてブリーフィングが続く。
「富士山測候所のデータでも
いつ噴火してもおかしくないほどの
マグマ貯まりが確認されましたが、
現在は安定しているようです」
「樹海の一部を焼失することになりますが、
地下の高圧マグマまでバイパスを作り、
ガス抜きを図るのが良策かと」
現状報告と事後の対策を提示され、
「高熱への対処は?」
と疑問を投げかけると間髪いれずに答えが返ってくる。
「バイパスと出口に
ウチの稲村3号トカマク融合炉で使用しているのと同じ
磁界フィールドで対処可能です」
「磁界で放出口を形成し少量づつ放出する計画です」
融合炉世界シェアの80%を誇るasuka重工を使えば、
技術面での問題はなさそうか…。
「期間は?」
「完成まで1年、ガス抜きに1年」
「わかった。会計は政府に予算申請。
費用は日銀保有の米国債10%の売却でまかなう。
米議会へのロビーはasukaが請け負うと伝えろ。
ニューヨークへは私が直接出向く」
と、そこにインターフォンがなった。
この重大事の会議中にくだらんことだったら
取り次いだヤツは就職時にasuka南極測候所送りにしてやると
イラッとした視線を電話を取った書記に向ける。
「会長、瑞葉さんがおいでになったようです」
「すぐに通せと伝えろ!」
と言う自分の顔の筋肉がだらしないことになっているのが分かる。
うれしさが抑え切れない――。
桂木少尉のアパートに同居している
狐の化精瑞葉は、いやもうなんというか……キュートだ。
十一面観音で有名な長谷寺の側にある喫茶店『胡蝶』から、
桂木少尉のお弁当を持ってきたに違いない。
受付には、瑞葉が来たら万難を排して私に伝えるように言いつけてある。
今日の受付当番は、将来、表参道にある本社の受付に抜擢しすることによう。
「わー、瑞葉~~っ! 遊びに来てくれたのか??」
執務室に瑞葉が入ってくるのももどかしく、
出迎えて抱きしめる。
kaomizu.jpg
ところが瑞葉に両手でいやーと言う感じに押しのけられて、
「暑い、暑い…」
と邪険にされて仕方なく放す。
床に手と膝をついてがっくりとしている姿を哀れに思ったのか、
「少しなら…いい…」
と言ってくれる。
ああ、なんて良い子なんだろう▽▽
再び抱きしめられて、じっとしていた瑞葉だったが、
しばらくすると、
「ニューヨーク行きは止めたほうがよい…」
と言ってきた。

その3につづく
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