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特別編 その3 インタビューウイズ タチアナ・ニコラエヴナ・ロマノヴァ [小説]

オーソドクス教会との戦いが、
前回までの第4章でいったん小康状態に入りましたので、
今回は、西御門弾正府のナンバー2、
わたくし化野音音(あだしのねね)が、
オーソドクス教会アジア本部=極東オーソドクス教会の幹部で、
ロシア最後の皇帝ニコライⅡ世の次女
タチアナ皇女大佐にインタビューしてみようと思いますわ。

taisa.jpg
「タチアナ皇女大佐、ちょっとよろしいかしら…?」
「誰? ホルモン教の勧誘なら間に合ってるわ。
∑はっ! まさかソビエト連邦共産党の残党!!?
プラウダとか赤旗ならぜったい取らないわよ!?」
「プラウダ??
ソ連時代の有名な新聞ですわね」
「ああ、なんだ化野じゃない。
なんでもない。昔の話よ。――ソビエトは遠くなりにけり……
あなたが生まれる前の話だったわね…」
「ええ、私にとってソビエトに関する事項は、
歴史上のお話でしかないですわ。
前世紀、20世紀の話ですわね。
やはりリアルタイムで生きてきた方にはかないませんわ」
「うるさいわねっ! 前世紀とか言うな!
ソビエトはね、一昔前にあったクソボルシェビキどもの、
壮大な社会実験の話よ。しかも大失敗のね。
あの赤い連中が、70年もかけて証明したのは、
欲深い現代の人類の理性では
共産主義の完全な実行などありえないということだけ」
「仰るとおりですわ。
共産主義、公正無私で完璧に理性的な方でないと難しいですわね」
「どこの国の役人でもそうだけど、
人間10年もすれば権益にまみれて、
一度掴んだ権利は手放さないモノよ」
「まあ、ロマノフ王朝による
絶対王政も酷かったと思いますけど…」
「でも、政治とは無縁の子供まで
殺さなくてもいいじゃないっ!
弟のアレクセイなんて殺された上に
バラバラにされて燃やされたのよっ!」
「ご愁傷さまです。
誰にも人を殺す権利なんてないのですのに…」
「そう思うでしょ! ボルシェビキどもに災いあれっ! よ」
「まあ、それはともかく、
タチアナ殿下は何故日ノ本で復活なさったのかしら?
あなたもアレクセイ同様、
エカテリンブルグ近郊で秘密警察に銃殺にされたはずですし、
日本にもいらしたことはないでしょう? それに当時23歳だったはずですし…。
なのに随分お若くて…」
「うっ」
「それにその金髪、
やはりあなたアナスタシア皇女?」
「--バ、バレたら仕方ないわね。
そのとおり、発育の悪い外反母趾(ぼし)の17歳アナスタシアよ。
何か文句ある?」
「文句って…文句はないですけど、
どうしてというのは気になりますわね」
「そんなことどうだっていいでしょ!?」
「えーっ、秘密にしておきますから教えてほしいですわっ」
「ホントに秘密にしてくれる?」
「もちろんですわっ!」
「――じゃあ特別に教えてあげるけど、
私はあのとき殺されなかったの。
間一髪モスクワオーソドクス教会の神父たちに助けられたの」
「え? じゃあどうして17歳のままなの?」
「それは、私が生きながら新致命者になることを選んだからよ」
「復讐のためですの?」
「そうよ。私の望みは
この世からボルシェビキどもを一掃すること。
ソ連は崩壊させたし、
中国は、すでにチベットは独立、
西部は民族主義者が群雄割拠して、
沿海州も首都北京と経済首都上海に分断できたから、
まもなく民主中国が誕生する。
2010年のノーベル平和賞贈呈は
会心の一撃だったと我ながら大絶賛モノよ!
あとはキューバだけなんだけど、
あそこはビンボーが半端じゃないから、
なかなか手ごわいけどね!」
「それはいいとして、
なんでタチアナ皇女と名乗ってますの?」
「それはね、ほら、私のニセモノっていたじゃない。
って随分前の話だから知らないか?」
「いえ、存じておりますわ。
記憶喪失後に皇女だと言い張った
アンナ・アンダーソンですわね」
「そうよ! あの猫ばばあのポラック(ポーランド野郎)のせいで、
生きている私ってニセモノっぽい印象が強いわけ」
「ああ、それで…」
「まったく腹立たしい話でしょ?
あとは、もともと名誉大佐で人気のあったタチアナねえさんで通した方が
兵の志気があがるのよ」
「なるほど。でも、その貧乳は…」
「う、うるさいわねっ! 私だって大きくなれば、巨乳になるのよ! 
わたしの貴い血には、
かのホルシュタイン伯爵家の血も流れてるんだから!」
「でも、あなたは新致命者だから、
もう成長しないですわよね。
それにホルシュタインって、
巨乳な乳牛のことだと思ってますの?
ホルシュタインとは『森の住人』という意味のドイツ語ですわ」
音音大佐.jpg
「え? あ? そうなの??
あんた、ドイツ語も分かるの?」
「そのドイツ語が苦手なところも
アナスタシアさんの特徴のひとつでしたわね」
「キー、覚えてらっしゃい、この決着は戦場でつけるわよ!」

ああ、相手を怒らせてしまうなんて、インタビュアー失格ですの。
でも、生「覚えてらっしゃい」を聞けたのは貴重ですわw
タイトルとは変わってしまいましたけど、
アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァさんのインタビューを終了しますわね。


(イラストkouzyo.jpg 押田J・Oさん)
日本パム×ソフトバンコ戦を見て
日本対ソ連だと勘違い中なアナスタシア皇女殿下。
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