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「豪快! 両国夢想」第6話「神なるもの」その45 [小説]

強襲揚陸艦の甲板からは大型ヘリが離陸を開始し、
開いたウェルドックから、
続々と揚陸艇が吐き出される。
まるで映画のノルマンディー上陸作戦の一場面のように
海は海兵の舟艇でいっぱいになる。
「あれは、
徴兵された南部アメリカ連合の兵士達で、
第二契約者ではない。
まあ言うなれば無辜(むこ)の民だな。
国が違うというだけで、
どちらかと言えば善人の類だ。
そうした人間を、
友人だからという理由で
人質を殺させないお前達が殺せるのか?
友人も、善良な他人も同じ人間なんだからな」
勝ち誇って長広舌(ちょうこうぜつ)になったワシントンの
癇(かん)に障るような笑い声がこだまするなか、
子狐丸の前しゃがんでいた結繪が
すっくと立ち上がった。
「私たちは、
降伏もしなければ、
無辜の民を殺しもしません。
なぜなら、あなたたちが
神とあがめているものは
神などではないんだから--」
「! 貴様っ!
我らの神愚弄するきか!?」
挑発なのか、
超保守なワシントンが信奉する神をけなされ、
怒髪が天を突くかと思われるほどの形相で
結繪をにらみつけるが、
結繪はまったく動じた風もない。
「だってあなたたちの神様の悪口言ったって、
べつに何も起こらないし…。
それってちょっと異能がある存在が神を自称しただけで
ぜんぜん神様じゃないと思うけど?」
「許さんっ!」
怒りに我を忘れたワシントンが、
萌を放り出すと、
一直線に結繪に突進してくる。
足下に転がっている子狐丸をつま先で蹴り上げた結繪は
ワシントンとのすれ違いざまに目にもとまらぬ早さで
鯉口を切り、刀身を一閃させた。
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「い…居合い…だと…」
「ワシントン、
あなたは無辜じゃないから
全然容赦しないけどね♪」
腰から上が前のめりに崩れ落ち、
おびただしい量の血が、
辺りの砂を朱(あけ)に染める。

つづく
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moe

makimakiさん おはようございます。
ご訪問&nice! ありがとうございます♪
by moe (2014-03-22 06:11) 

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